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【借主に退去してもらいたい…】更新拒絶・解約申入れについて

2020年9月10日 | admin

「もう少しで建物賃貸借契約の契約期間が満了するので、更新拒絶の通知を出したい。

通知を出す期間の制限はあるのか、また、更新拒絶の通知を出しさえすれば、賃貸借契約は終了させられるのか。」

 

「建物が老朽化しており、いつ倒壊してもおかしくないことから、リフォームもしくは取り壊したいので、借主の方に退去してもらいたいが、どのような手続を踏む必要があるのか。」

 

 

このようなご質問をされることが多いです。

 

今回は、特に借主側に賃料未払いや無断転貸等の契約違反をしているわけではない借主との間での建物賃貸借契約を終了させる方法について、ご説明します。

 

 

【更新拒絶の通知及び解約申入れ】

 

期間の定めのある建物賃貸借契約の場合、更新拒絶の通知は、契約期間満了の1年前から半年前までに行わなければなりません(借地借家法第26条1項)。

 

もし、この期間を過ぎてしまうと、建物賃貸借契約は従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(法定更新)。

 

また、更新拒絶通知を出したけど、その後も借主が住み続け、これに対して貸主が異議を述べなかった場合も同様に法定更新がなされたとみなされます(借地借家法第26条2項)。

 

そうすると、例えば、

 

建物賃貸借契約の期間が2年だったとすると、更新拒絶の通知を出せなかった場合、また2年間契約を続けなければならないの?

 

と疑問に思われるかもしれません。

 

そういうわけではありません。

 

すなわち、法定更新がなされると、この建物賃貸借契約については、「期間の定めのない契約」となります(借地借家法第26条1項但書)。

 

期間の定めのない建物賃貸借契約については、貸主が建物賃貸借契約の解約の申入れを行い、その日から6か月を経過することによって終了することとなります(借地借家法第27条1項)

 

ですので、仮に、更新拒絶の期間に間に合わなかった場合には、更新拒絶の通知ではなく、解約申入れの通知を行うことで、その日から6か月後に効果が発生することになります(なお、解約申入れをして6か月経過しても、借主が住み続け、それについて貸主が異議を述べなかったら、その場合も法定更新となってしますので、注意が必要です(借地借家法第27条2項、同第26条2項)。)。

 

もっとも、更新拒絶の通知の場合もそうですし、解約申入れの通知の場合もそうですが、建物賃貸借契約が終了するには、さらに、「正当の事由」が必要となります(借地借家法第28条)。

 

すなわち、貸主の一方的な解約の申入れにより建物賃貸借契約が終了してしまうとすると、借主としては、突然、引っ越しやその他多額の費用を準備しなければならなくなりますし、また、その地域で築き上げた人間関係等も突然解消することを余儀なくされるなど非常に大きな不利益を被ることになってしまいます。

そこで、そのような弱い立場にある借主保護のため、法律は、貸主側からの建物賃貸借契約の解消には、「正当の事由」を必要としたのです。

 

 

【正当事由について】

 

正当事由の有無については、以下の要素が総合考慮されて決せられることになります(借地借家法第28条参照)。

 

・建物の使用を必要とする事情

・建物の賃貸借に関する従前の経過

・建物の利用状況

・建物の現況

・建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出(いわゆる「立退料」です。)

 

どのような場合に正当事由があると判断されるのか、立退料はいくらくらいになるのか等は事案ごとに異なりますので、詳細は専門家にご相談することをお薦めします。

 

この「正当事由」が認められて、はじめて借主に退去してもらうことが可能となります。

 

以上、借主の方に退去してもらうための流れ・方法を簡単にご説明しました。

 

不動産経営は、多くのリスクやトラブルが生じやすいものだと思われますので、少しでもストレスを軽減させるために、お困りごとがありましたら、専門家へご相談ください。

 

弁護士 正木 耕平